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執筆者の写真行政書士 井上 知紀

NPO法人って利益をあげちゃいけないの?

更新日:12月6日

 特定非営利活動法人は「非営利」だから利益を上げちゃいけないのでは、と勘違いされている方が多くいらっしゃいます。


ここでは岩手県盛岡市のNPO法人に詳しい行政書士が、特定非営利活動法人の収益構造について解説をします。


この記事を書いたNPOに詳しい井上行政書士


 

〜目次〜

 


1.利益は上げてもよい

 まず、大前提として利益を上げることは認められています。


名称にある「非営利」とは利益の有無ではなく、組織構成員への利益分配の有無を意味します。


そのため


  • 営利法人 → 利益分配 “可”

  • 非営利法人→ 利益分配 “不可”


となります。


営利法人は株式会社や合同会社のことで、分配とはいわゆる「配当」にあたります。


非営利法人は特定非営利活動法人(以下、NPO法人)以外にも、一般社団法人、公益財団法人、学校法人等もあります。


非営利法人は配当を行わず利益は法人の活動資金となり、法人解散時に残った財産があれば


  • 特定非営利活動法人

  • 国または地方公共団体

  • 公益社団法人または公益財団法人

  • 学校法人

  • 社会福祉法人

  • 更生保護法人


のいずれかに帰属(所有)させることとなります。


定款で特定の法人に帰属させることもできますし、上記法人・国・地方公共団体のいずれにも帰属させない場合は、国庫に帰属することとなります。


帰属先は定款作成時に決めておくこともできますし、法人解散時の総会で決めることもできます。


利益を上げてもいいことは分かりましたが、NPO法人の場合はあくまで特定非営利活動が主たる目的でなければいけません。


では、NPO法人はどのような収入で運営されているのでしょうか。

考える女性


2.NPO法人の収入源

 NPO法人の主な収入は、下記の5つとなります


1)会費

 正会員や賛助会員に年(月)会費を設けている場合。個人や法人、営利法人・非営利法人等により会費の金額に差を設けているケースが多いです。


2)寄付金

 年会費のように定期的なものではなく、活動趣旨や内容に賛同した個人・法人等から提供を受ける金銭や物資のこと。


3)助成金

 条件を満たし審査を経れば基本的に受け取ることができるもの。国や地方公共団体だけではなく、大手営利法人等が社会福祉の一環として募集しているケースもあります。


4)補助金

 国や地方公共団体が審査基準を設け募集し、申請のあった案件の中から採択可否を決定し交付するもの。要件を満たしていても他に評価点数の高い申請があれば不採択となり、交付されないこともあります。


5)収益

 活動を行う中でサービスの対価として受け取るものや、活動費捻出のために物品販売等を通して得たもののこと。


冒頭で「利益を上げることは認められている」と言いましたが、むしろ営利法人同様に利益をあげ経営していかなければいけません。


NPO法人を対象とした助成金や補助金は多い(特に助成金)ものの、それらは毎年募集が確約されているものではありません。


そのため助成金や補助金に頼った経営は不安定になりがちであり、法人としての事業ビジョン・達成したいものを明確化し、会費を中心とした収益構造が望ましいです。



3.運営にかかる主な費用は?

 NPO法人の中にはボランティアの性格が強い事業を中心に行なっており、施設や人員を抱えていない法人もあります。


その場合には家賃や人件費が発生せず、初期および年間費用がほとんどかからない場合があります。


一方で介護施設等の場合は家賃や人件費等が発生し、またNPO法人だからと言って給料が安いとか、安くてもいいということはありません。


設備資金や運転資金を含めた初期費用が多くなる場合には、NPO法人であっても融資による資金調達を検討します。


当然ですが事業ビジョンに基づいた事業計画・収益計画がなければ融資は得られません。


事業の運営に関しては2章で解説した収入を得て、家賃・人件費・その他運営費等が差し引かれて利益(損失)となります。


ここでは解説しませんが、税法上の収益事業に対しては税金が課されますので注意が必要です。



4.おわりに

 この記事では


  • NPO法人でも収益を上げることができること

  • NPO法人の主な収入源


を中心に解説しました。


下記記事ではNPO法人の設立の流れについても記事にしています。


設立をご検討中の方はご参照いただけますと幸いです。


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