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経審点数UP!その他社会性項目等(W)とは

執筆者の写真: 行政書士 井上 知紀行政書士 井上 知紀

更新日:4 日前

 経審の評価項目として「その他社会性項目等(W)」があります。即効性のある対策も可能な項目ですが、どのような構成になっているのでしょうか。こちらの記事では経営事項審査における「W」について、岩手・盛岡の建設業に詳しい行政書士が解説します。





この記事は

・建設業許可を持っていてこれから経審を受ける方

・名簿登録までされているが経審の点数を伸ばしたい方

向けに作成しております。


少し長い記事ですが、一緒に見ていきましょう。


 

~目次~



 


1.全体像

 Wは社会性等を図る指標で、審査項目は大きく8つに分けられています。


  1. 建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組状況

  2. 建設業の営業年数

  3. 防災活動への貢献状況

  4. 法令遵守の状況

  5. 建設業の経理の状況

  6. 研究開発の状況

  7. 建設機械の保有状況

  8. 国または国際標準化機構が定めた規格による認証や登録の状況


各項目について次章以降、詳しく見ていきます。



2.建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組状況

 他の項目はさほど細かく細分化されていないのですが、この項目はかなり細かく細分化されています。


Wを理解する際に最初にして最大の山場と言えます。


以下が審査項目です。


【審査項目】

2-1 雇用保険加入の有無

加入が必要な事業所にも関わらず加入していない場合には大きく減点されます。


加入していても、保険料を滞納している場合は同じく減点されます。



2-2 健康保険加入の有無

雇用保険と同様です。



2-3 厚生年金保険加入の有無

雇用保険と同様です。



2-4 建設業退職金共済制度加入の有無

建設業退職金共済制度(いわゆる建退共)に加入していると加点されます。


ただ疏明資料として勤労者退職金共済機構が発行する「履行証明」が必要なのですが、加入しているだけでは発行してもらえません。


書類名の通り履行していることを証明する書類であり、発行には一定の基準が設けられています。


自社が発行可能かどうか、発行してもらえるようにするには今後どうしたら良いか等、管轄の建退共支部にご確認いただくことをおすすめします。



2-5 退職一時金制度もしくは企業年金制度導入の有無

加入している場合、加点されます。



2-6 法定外労働災害補償制度加入の有無

加入している場合、加点されます。


ただ民間の保険等の場合は

  • 業務災害と通勤災害の両方を対象とすること

  • 申請者が直接使用する職員だけでなく下請負人が直接使用する職員も対象とすること

  • 死亡・労災保険の障害等級1級〜7級までに関する障害補償給付と障害給付、遺族補償給付と遺族給付の基因となった災害全てを対象とするもの

  • 全工事現場を保証すること(JVおよび海外工事を除く)

という要件を満たしている必要があります。


これらは保険証券や約款等で確認することができます。



2-7 若年技術職員の継続的な育成及び確保

審査基準日に満35歳未満の技術職員の人数が全体の15%以上に当たる場合、加点されます。



2-8 新規若年技術職員の育成及び確保

審査基準日において満35歳未満の技術職員のうち、審査対象事業年度内に新しく技術職員となった人数が全体の1%以上の場合、加点されます



2-9 CPD単位取得数

技術者のCPD取り組み状況に応じて加点されます。



2-10 技能レベル向上者数

技能者の能力評価レベル向上具合に応じて加点されます。



2-11 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく認定の状況

上記法律に基づき、

  • えるぼし認定

  • プラチナえるぼし認定

を受けている場合、加点されます。


えるぼし認定についてはこちら>>>

※厚生労働省のページに遷移します。



2-12 次世代育成支援対策推進法に基づく認定の状況

上記法律に基づき、

  • くるみん認定

  • トライくるみん認定

  • プラチナくるみん認定

を受けている場合、加点されます。


くるみん認定についてはこちら>>>

※厚生労働省のページに遷移します。



2-13 青少年の雇用の促進等に関する法律に基づく認定の状況

上記法律に基づき、「エースエール認定」を受けている場合、加点されます。


エースエール認定についてはこちら>>>

※厚生労働省のページに遷移します。



2-14 建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況

CCUS(建設キャリアアップシステム)を用いて就業履歴を蓄積している場合、加点されます。



ここまでのまとめとして、特にCPDの取り組みや各種認定の取得には時間がかかります。


そのためこちらの項目で点数を伸ばすには、1年後や2年後を見据えて中期的に取り組んでいく必要があります。



3.建設業の営業年数

【審査項目】

こちらは建設業の営業年数を記載します。


あくまで建設業の営業年数であり、法人の営業年数と一致しない場合もあります。


途中で営業を行なっていない期間がある場合、その期間を除いて正確に記載する必要があります。



4.防災活動への貢献状況

【審査項目】

  • 防災協定の締結の有無

国、特殊法人等、地方公共団体と防災協定を締結していると加点されます。


ですが、中小企業が国・地方公共団体と防災協定を結ぶことはなかなか難しいかと思います。


そこで検討したいのが業界団体への加入です。


特殊法人等には業界団体が含まれ、加入している業界団体が国や地方公共団体と防災協定を結んでいると加点されます。


例えばですが、盛岡市の場合、応急対策業務として盛岡市建設業協同組合さんが協定を結んでいます。


経審の加点以外にも加入メリットはあると思いますので、お近くの業界団体を調べてみてはいかがでしょうか。



5.法令遵守の状況

【審査項目】

  • 営業停止処分の有無

  • 指示処分の有無


上記に該当する場合には記載する必要があり、その場合、それぞれ30点、15点の減点となります。


基本的には該当しない項目だからこそ、ここで減点されると競合他社と大きく差が開いてしまいます。


そのため営業停止処分も指示処分もされないよう適切に事業運営していくことが求められます。



6.建設業の経理の状況

【審査項目】

  • 監査の受審状況

  • 公認会計士等の数

  • 二種登録経理試験合格者等の数


中小企業で上の2つに該当する場合は少なく、また従業員が公認会計士や税理士を取得することも稀かと思います。


一方、二種登録経理試験(建設業経理士2級)の合格は現実的と言えるでしょう。


年2回開催されており、合格率は30〜40%台です。


現場に出る方だけでなく経理や総務の方にも資格を取得してもらう事で、Wの点数を伸ばすことができます。


資格取得を促すための人事制度設計が有効と言えます。



7.研究開発の状況

【審査項目】

研究開発費があれば入力します。経審のためにわざわざ増やす項目でもないため、現状ままで良いです。



8.建設機械の保有状況

【審査項目】

下記建設機械を保有していると、最大15台まで加点されます。

名称

範囲

ショベル系掘削機

ショベル、バックホウ、ドラグライン、クラムシェル、クレーンまたはパイルドライバーのアタッチメントを有するもの

ブルドーザー

自重が3t以上のもの

トラクターショベル

バケット容量が0.4㎥以上のもの

モーターグレーダー

自重が5t以上のもの

ダンプ車

自動車検査証の車体形状欄に「ダンプ」、「ダンプフルトレーラ」または「ダンプセミトレーラ」と記載があるもの

移動式クレーン

つり上げ荷重が3t以上のもの

高所作業車

作業床の高さが2m以上のもの

締固め用機械

ロードローラー、タイヤローラー、振動ローラー、ハンドガイドローラー等の自走可能であり、特定自主検査の対象となるもの

解体用機械

ブレーカ、鉄骨切断機、コンクリート圧砕機、解体用つかみ機


加点に関しては1台でも保有していると5点加点されるため、建設業種によっては大きく点数を伸ばすことができます。


ただし特定自主検査を審査基準日1年以内に受けていないと対象とならないため、毎年しっかりと特定自主検査は受けるようにしましょう。


上記は自社での保有のみならず、リースでも対象となります。



9.国または国際標準化機構が定めた規格による認証や登録の状況

【審査項目】

  • ISO9001(品質マネジメントシステム)

  • ISO14001(環境マネジメントシステム)

  • エコアクション21(環境マネジメントシステム)

による認証。


ISO14001とエコアクションは同じ環境マネジメントシステムですが、前者が国際規格で後者が国内規格となります。



10.おわりに

 本記事では経営事項審査の総合評価点について解説をしました。


かなり項目数が多く、全てに対応することは大変難しいと感じられたのではないでしょうか。


そのため項目として分かりやすい部分や取り組みやすい部分から取り組んでいくと良いでしょう。


当事務所では経審の書類作成だけでなく、点数UPに向けた対策のご相談も承っておりますのでぜひお気軽にご相談ください。


また別の記事ではP点について解説をしています。


関連記事にありますので、あわせてお読みいただくとより一層点数UPを期待できるかと思います。



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 建設業許可や経営事項審査の報酬については下記ページをご参照ください。



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