人手不足解消の鍵!特定技能制度の概要と受け入れについて
- 行政書士 井上 知紀
- 3月21日
- 読了時間: 6分
更新日:4月18日
近年、全国的に深刻化している人材不足は岩手県においても例外ではありません。特に地方の中小企業を中心に人手が足りない状況が続いており、人材の確保が事業継続の大きな課題となっています。
高齢化による労働力不足、都市部への人材流出、そして少子化など、様々な要因が重なり人手不足は深刻さを増しています。この状況を放置すれば地域経済の衰退は避けられません。
このような状況の中、注目されているのが「特定技能制度」です。
この制度は一定の専門性や技能を有する外国人材を雇用することで、労働力不足の緩和・解消を目指す制度です。
しかし「特定技能」という言葉は聞いたことがあっても、その具体的な内容や要件についてはよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では岩手県内の企業様が人材不足に立ち向かうため、「特定技能制度」について制度の概要から要件、受け入れの際の注意点まで詳しく解説していきます。
【目次】
1.特定技能制度とは
特定技能制度とは、深刻な人材不足が認められる特定の産業分野において、一定の専門性・技能を有する即戦力の外国人材を受け入れる制度です。
2019年4月より開始された在留資格の中では比較的新しい制度です。
この制度の目的は、人材不足を解消(緩和)し日本の持続的な経済・社会基盤を形成することにあります。
特定技能には1号と2号の2区分あり、対象となる特定の産業分野とは以下の16分野です。(2025年3月現在)
介護(1号のみ)
ビルクリーニング
工業製品製造業
建設
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
自動車運送業(1号のみ)
鉄道(1号のみ)
林業(1号のみ)
木材産業(1号のみ)
これらの分野はいずれも人手不足が深刻な状況にあり、外国人材の受け入れが特に必要とされています。
各産業における受け入れ状況は下記の通りです(2024年12月末時点)。

自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4産業は2024年4月に加わりましたが、実際に受け入れ開始されたのが最近のためデータとして反映されていません。
特定技能2号は熟練した技能を持つ外国人が1号を終えた後に移行できますが、そのためには試験に合格する必要があります。
この試験の難易度が高く、特定技能1号に対して2号の方はかなり少ないのが現状です。
ただし、以前までは2分野のみでしたが現在(2025年3月時点)では11分野まで拡大され、人数こそ少ないものの特定技能2号も大きく増加しています。
1号では滞在期間が最長で通算5年かつ家族の帯同は認められませんが、2号になれば滞在期間に上限はなくまた一定の要件を満たせば家族の帯同も認められます。
2.特定技能の要件
特定技能外国人として日本で働くためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
各産業の技能試験に合格すること
一定の日本語能力を有すること
これらの要件は、各分野で求められる専門性および技能の確保と、日本での生活に必要な日本語能力を測るために設定されています。
ただし、技能実習2号を良好に修了した外国人は技能試験と日本語能力試験が免除されます。
3.特定技能外国人の受け入れ方法
特定技能外国人を受け入れる方法は大きく分けて以下の2つです。
海外在住の外国人を新たに雇用する
日本国内に在住する外国人を雇用する
海外在住の外国人を雇用する場合は、現地の送り出し機関等と連携し、必要な手続きを行う必要があります。
求職者である外国人は海外にいるため、面接は基本的にオンライン等によって行われます。
通信環境のチェックを行ったりWEB会議用のスピーカーを用意したりするなど、オンライン面接に慣れておく必要があります。
また実際に採用となった場合には、事前にオンラインで支援計画や雇用条件について説明する必要があります。
一方、日本国内に在住する外国人を雇用する場合は、ハローワークや民間の職業紹介事業者などを活用することができます。
日本人を採用する場合と大きくは変わりません。当然ですが、在留資格の確認はしっかりと行いましょう。
4.特定技能外国人を受け入れる際の注意点
特定技能外国人を受け入れる際には、以下の点に注意が必要です。
適切な雇用契約を結ぶこと
労働基準法などの労働関係法令を遵守すること
生活や業務に必要な支援を行うこと
外国人材が安心して日本で働くことができるよう、社内外で適切なサポート体制を構築することが重要です。
特定技能の外国人材は日常生活に支障ない程度の日本語能力を有していますが、分からない言葉はもちろんありますし、また読めない漢字は非常に多くあります。
何か説明する際は分かりやすい言葉で話し、かつ書類等にはふりがなを振るか本人が理解できる言語でも用意してあげることが求められます。
受け入れには一定の費用がかかるため、すぐに退職してお金が無駄になったとならないよう、雇用状況の整備は必須です。
5.生産性向上と働き方改革の重要性
特定技能制度は人手不足を解消する有効な手段ですが、それだけに頼るのではなく生産性向上と働き方改革にも並行して取り組むことが重要です。
業務フローの見直しやIT導入によって効率化し長時間労働の是正や柔軟な働き方を導入することで、既存人材の定着率向上につながります。
今後外国人材は増えていく一方ですので、将来的に社内のIT化を検討する際は外国人にとっても使いやすいサービスであると良いでしょう。
例えば外国人材の受け入れが多くかつ日常的にITに接する介護業界では、日本語に加え英語など複数の言語に対応している介護記録サービス等もあります。
6.まとめ
特定技能制度は、人手不足に悩む企業にとって有効な解決策の一つです。しかし、制度の活用には専門的な知識と手続きが必要です。
人手不足の要因は高齢化、少子化、都市部への人材流出など、多岐にわたります。
特定技能制度の活用と並行して生産性向上と働き方改革を進めることで、持続可能な経営体制を構築することができます。
行政書士いのうえ法務事務所代表の井上は、有料職業紹介業かつ登録支援機関の役員も務めており、外国人材のご紹介、書類作成、入国後の支援まで一気通貫で行うことができます。
外国人材受け入れノウハウが豊富で人手不足に関するお悩み改善に大きく貢献いたします。
人手不足でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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