日々、介護現場における人手不足がニュースとなっています。岩手県にあるあなたの事業所ではいかがでしょうか?いざ人手不足になった際に手遅れとならないよう、日々のトレンドを押さえておくことは重要です。こちらの記事では2024年現在の介護業界における人手不足の状況について解説いたします。
本記事は岩手県の
「人手不足に悩む介護事業所様」
「外国人材の雇用を検討している介護事業所様」
向けに作成しています。
【目次】
1.不足する介護職員
1.不足する介護職員
あなたはこの図をどこかで見たことがありますか?
全く同じ図でなくても、似たような図を見たことがある人は多いかと思います。
これは厚生労働省が3年に1回公表している「介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」という調査にある図です。
「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、今後日本では2026年度に約240万人、2040年度には約272万人の介護職員が必要とされています。
※9期は2024年〜2026年の期間を指します。
2022年度時点の約215万人が横ばいで続いたと仮定しても、2026年度には約25万人、2040年度には約57万人不足する試算です。
今回の記事はこの知識が大前提となりますので、しっかりと記憶してください。
2.2023年について(前年度の調査報告より)
上記知識を踏まえ、2023年度の介護職員数に関しどのような変化があったのか確認していきます。
2023年の介護職員数について、厚生労働省より「令和5年介護サービス施設・事業所調査」が公表されました(2024年12月25日付)。
本調査によると2023年10月1日時点の介護職員数は212.6万人であり、2022年に比べ2.8万人減少しました。
介護職員数が減少したのは2000年に介護保険制度が誕生してから初であり、衝撃的なニュースと言えます。
ただでさえ今後2026年度には約25万人、2040年度には約57万人足りないと言われている中、減少してしまったわけです。
減少した主な要因としては、他業界でも人材不足が続いており、また物価高騰も相まって賃上げが進んでいること。
その一方で介護業界の賃上げは進んでいないこと。
結果として新しく入ってくる人材よりも他業界への流出する人材が多く、流出超過となったと考えられています。
国としては介護業界における人材不足に対し
1)介護職員の処遇改善
2)多様な人材の確保・育成
3)離職防止・定着促進・生産性向上
4)介護職の魅力向上
5)外国人材の受入環境整備
など総合的な介護人材確保対策に取り組むと表明しており、今回の調査結果を踏まえるとより一層対策が強化されると見込まれます。
こちらの記事では⑤の外国人材に注目し深く見ていきます。
3.介護現場における外国人材の活用状況
介護現場における外国人材の活用状況については、公益財団法人介護労働安定センターが調査を公表しています。
「令和5年度 介護労働実態調査」によると、外国人介護労働者を受け入れている介護事業所は全体の13.4%となっています。
82.5%もの事業者は外国人材を受け入れていないことが分かります。
また、現在受け入れてない事業所のうち57.6%が「今後も受け入れようとは思わない」と回答しており、「今後検討する」の約31.4%を大きく上回っています。
業界として介護職員が減少している状況にありながら、まだ受け入れしていない事業所においては受け入れに対し消極的であると言えます。
主な理由としては
・一緒に働くことになる介護職員の理解を得られない
・サービスを受ける利用者の理解を得られない
・日本人の指導をするのでさえ手一杯だ
・どのくらいかは分からないが受け入れコストが高そう
・すぐ辞めてしまうに違いない
などがあると想定されます。
ですが業界全体で見ると、「新たに活用する予定がある」とする事業所の割合は全体の13.1%から45.1%へと大幅に伸びており、外国人材の受け入れに対する認識は変わりつつあると伺えます。
4.岩手県での取り組み
外国人材の受け入れ成功のためには相手の文化を理解することが重要であり、また業務のマニュアル化、寮の確保などには一定の負荷が発生することは事実です。
外国人材に対する理解を深めかつ負担を軽減すべく、岩手県では下記取り組みがなされています。
1)理解を深める
外国人材に対する理解を深めるため、民間企業等に委託し活用促進セミナーを開催しています。
毎年度定期的に開催されており、実際に外国人材を受け入れしている事業所の生の声を聞くことができます。
実際に受け入れしている事業所の声は非常に参考になると思いますので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
県の主催だけでなく国や、さらに県の外郭団体である公益法人等も同様のセミナーを開催しています。
もちろん介護現場での活用事例を知ることも重要ですが、そもそもの制度自体について理解することも重要です。
現在介護現場で働くことのできる在留資格としては
・在留資格「介護」
・技能実習
・在留資格「特定技能1号」
・EPA(経済連携協定)
の4つあります(2025年1月現在)。
それぞれどのような特徴があるのか、研修やセミナーを通し理解していきましょう。
2)活用の負担を軽減する
負担軽減策として補助金が交付されており、例えば環境整備のための「外国人介護人材受入施設等環境整備事業費補助金」があります。
補助対象となる主な取組は下記の通りです。
◼︎外国人介護職員とのコミュニケーションを促進する取り組み
(1)雇用予定の外国人介護職員と事前にオンライン通話を行うために必要な経費
(2)介護業務マニュアルの作成等に必要な経費
(3)介護業務マニュアルの翻訳に必要な経費
(4)多言語翻訳機の購入またはリースに必要な経費
(5)外国人介護職員の日本語学習の支援に必要な経費
(6)受入施設の職員が異文化理解を図るための教育や研修を受講・実施するために必要な経費
(7)コミュニケーションの促進に資するような研修の受講経費
◼︎外国人介護職員の介護福祉士の資格取得に必要な取組
(1)外国人介護職員を対象に資格取得を目指すために必要な教材の購入、外部講習等への参加、日本語講師による教育に必要な経費
(2)その他介護福祉士資格取得に資する取組に係る経費
◼︎外国人介護職員の生活支援に必要な取組
(1)外国人介護職員の孤立防止やホームシック等メンタルヘルスケアに必要な経費
(2)地域の日本人や外国人との交流を促進するための交流会開催等に必要な経費
(3)その他生活支援に資する取組に係る経費
2024年度は公募が終了していますが昨今の状況を鑑み来年度も公募があると想定され、また県だけではなく市町村単位で独自の補助金を交付している自治体もあります。
※年によって公募の有無や内容が変わる可能性があります。
【例】
・遠野市/遠野市外国人材受入等支援事業費補助金
・陸前高田市/外国人介護人材受入施設等翻訳機購入費補助金
5.おわりに(当事務所の取り組み)
介護事業は高齢者と接する機会が多く、1つのミスが取り返しのつかない事態になることもありえます。
だからこそ言語や文化の違う外国人材の活用に消極的になる理由も理解できます。
接客を伴わず黙々と作業する工場の製造ラインとは違います。
当事務所では介護事業所様に外国人材の雇用について理解を深めていただくべく、株式会社FORRESと共同で無料出張勉強会を受付しています。
外国人材の受け入れ制度について行政書士である私がご説明し、また外国人材の受け入れ実態についてはネパール人の代表が説明いたします。
出張形式とすることで多くの職員の方に参加の場をご提供し、また質疑応答にも柔軟に対応いたします。
ご参照:「外国人材雇用無料出張勉強会」を受付開始します
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